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配当利回りとPERの関係における考察(400社のデータより)

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配当利回りとPERの関係における考察

米国株、約400社のデータを分析してみたら面白い発見があった!

PERと配当利回り


縦軸:配当利回り、横軸:PERにして、

約400社(395社)の配当利回りとPERをプロットしたもの。

集合の上に一本のトレンドの線が引けるのではないか?と期待して分布図を作ってみたけれど、考えが甘かった・・・分散していて傾向を示す線は引けなそう。

一方で、分散しているけど、ある程度の固まりがあるように見える。これはどういう規則性を持っているのか考察してみた。

PERと配当利回り、および社債金利の壁について

配当利回りとPERの分布図を3つの線で囲ってみた。

まずは、緑の線。(PER10倍)

PERが10倍のラインより左にある株は少ない。「時価総額=利益の10年分」のPER10倍以下では、割安感から買われる傾向があるように見える。(資産価値に対するPBR1倍の壁の可能性もある。)

次に、赤の線。(利回り4%)

社債の調達金利は、Moody’sの格付けがAaa:3.03%、Bbb:3.91%ぐらい。配当利回りが4%以上になると、社債でお金を調達して、自社株買いをするインセンティブが働くのか、それとも、米国債との金利差で投資家から買われるのか、配当利回りが4%より上の株は少ない。

次に、濃い緑の線。(配当性向90%)

緑の線は配当性向が90%の場合のPERと配当利回りの関係を表している。流石に利益の90%以上を配当する配当性向90%以上の会社は少なく、多くの株が、このラインより下にある。

※配当性向90%のラインの意味

PER15倍で配当利回り6%の株が、高配当の優位性から買われて、2倍に値上がりした場合、PER30倍、配当利回り3%になる事を示す線。つまり配当性向を固定し利益が変わらない状態で値上がり・値下がりすると、この線上を移動する。

一見すると規則性がない点の集合に見えたグラフだが、このように、ほとんどの株は、PERは10倍以上配当利回りは4%以下配当性向90%のライン以下の3本のラインで囲まれた中に含まれる事が分かる。

図の利用価値

この図から単純に読み取れるのは、以下の3つ。

  • PER10倍は割安
  • 4%以上の配当利回りはお買い得
  • 配当性向90%以上は警戒が必要

分布図の点の集合を見ると、点の多さの割合から、この3つの基準を超えている時は、どれくらい異常(まれ)な状態なのかが感覚的に把握できるとおもう。

これがこのグラフの一番の価値だと思う。

この3つの関係性を見い出せたのは個人的には大発見だった。
しかし、ここで満足せず、更に深堀りして考えてみたい。

社債の調達金利が下がった場合、どう作用するのか?

利用価値の深堀り(金利の深堀り)

FRBが利下げをし、破綻等の金融不安もない状況下で、社債の調達金利が赤の破線から赤の実線まで下がった場合。

つまり、社債の調達金利が4%から3%まで下がり、調達金利の優位性から自社株買いを誘発し、利回りの優位性から株が選好される場合、

配当性向を固定し、配当利回りを4%から3%へ下落させると(利益が同じで配当性向を固定し、利回りを下げると時価総額が上がる。)

  • 配当性向40% PER10倍 → PER13.3倍
  • 配当性向60% PER15倍 → PER20倍
  • 配当性向90% PER22.5倍 → PER30倍

となる。

つまり金融緩和で調達金利が1%下落すると、約1.33倍の値上がりする可能性がある事になる。

FRBは景気後退が懸念される局面で、0.25%づつ金利をさげる事があるが、同じロジックで考えるとFRBが0.25%金利を下げると、約1.125倍(12.5%)の上昇する可能性がある事になる。

では、逆に調達金利が上がるとどうなるのか?

利用価値の深堀り(金利の上昇時)

少し極端な例だが、社債の調達金利が9%まで上昇した場合を考えてみたい。

当然、金利が下落した場合と逆の力が作用するため、PERは下がる(時価総額は下がる)のだが、調達金利が9%まで上昇すると、今度は、PER10倍の壁が下支えになりそうな事が確認できる。

金利が上昇し、「自社株買いの優位性」や「米国債に対する優位性」が後退したとしても、ちゃんと稼げている限り、PER10倍の壁がひとつの下支えとなりそうだという事が見て取れる。

(補足)

大多数がこの3つの壁に囲まれるというだけで、異常値が散在していることも図で確認できます。PERが割安、高配当利回りに放置されている場合は、「政治、訴訟、事業の成長性」などの問題を抱えていることが多いので、単純に指標だけで判断すると危険です。3つの壁(線)を説明しましたが、この基準は景気の変動・金利の変動で変わる可能性があります。例えばPER10倍以下でも買われない可能性もあります。

(最後に)

知識として、「PER10倍は割安」とか「配当利回りが高い株は少ない」とか「配当性向が高すぎる株」は危険であると理解していたが、実際にデータを集計してグラフする事で、より感覚的に実感することができた。

ひとつの目安として参考になれば幸いです。

(おまけ)

PER10倍の壁や他の壁は、ウォールマリアの壁のように一時的に突破される壁かも知れない。しかし、長期的に考えると、利益を上げている限りは、いつか奪還されるのではないかと思われる。

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