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400社データ分析 ROE, ROA, ROIC について

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ROE, ROA, ROIC について

ROE, ROA, ROIC の指標の有効性・相関関係を

米国株、約400社のデータで分析してみたよ。

以前、

ROEは低金利による負債増加で使えない指標

ROAは関係ない資産も評価対象になって微妙

従って、ROICを見た方が良い

 

という事を説明したが、

米国400社のデータを使って、相関関係を調べて見た。

ROE, ROA, ROIC の分布

横軸を利益率にして、

縦軸にROE,ROA,ROICをプロットしたもの。

ROAとROICは、似たような分布になっている。

つまり、ROICの確認が困難な場合は、

代替としてROAを確認しても、ある程度は有効そうに見える。

 

ROEは上にブレている企業が多い。

(指標に株主資本減少の自社株買いの要素が混入している。)

ちなみに、ROEで一番上にブレているのはLMT(ロッキード・マーティン)

 

ロッキード・マーティンのバランスシート

ロッキード・マーティン(航空・軍事産業、ロッキード事件…

負債が多く、ROEの分母「株主資本」の割合が小さいため、指標が上振れし実態の収益性と乖離している。

 

ROAとROICの相関性は高そうなので、もう少し詳しく見てみよう。

ROA, ROIC の関係性

横軸:ROIC

縦軸:ROA

 

すこし分散にしているものの、ある程度、正の相関性が見える。

 

ここで、下にブレている企業はどのような企業なのか、少し見ておこう。

下に位置する企業

グラフの下に位置する企業はPCTYとADPである。

  • PCTY(ペイロールシティ・ホールディング)
  • ADP(オートマティックデータプロセッシング)

下ブレの原因を確認するため、2社のバランスシートを見てみよう。

 

PCTYとADPのバランシート

どうやら、どちらも給与や人材管理のソフトウェアを提供していて、企業から給与を一時的に預かって、従業員に支払う業務をしている様子。その際の預り金が流動負債としてバランスシート上に計上され、ROAが低くなっている。(ROAの値が低い企業が同じ業種というのは、興味深い。やはり指標は同業他社と比較するのが有効だという事を示す良い事例。)

 

ちなみにADPは、従業員の給与等を把握していることもあり、「ADP雇用統計」の経済指標を発表している。

ADP全国雇用者数は、月ごとに民間の非農業部門雇用者数の増減を公表する経済指標で、米国における約56万の顧客の給与計算データから算出されている。米労働省による雇用統計の2日前に発表され、非農業部門雇用者数の結果を予想する指標として注目されている。ただし、この指標は非常に変動が大きく、雇用統計と違う結果になることもあるため、注意が必要。

 

下ブレしている異常値を確認したところで、話をROAとROICの相関性の話に戻そう。

ROA, ROIC の関係性

ROAとROICは概ね、赤の点線上に分布している。

 

線の傾きは、

「ROA:ROIC=3:4」である事をしめしている。

これをもう少し詳しく読み解いてみよう。

ROAとROICの比率が示すもの

ROAとROICの比率は、

資産:(株主資本+有利子負債)=4:3であり、

資産と流動負債の割合が4:1である事を示している。

※細かい計算は図の右を参照してほしい。

 

つまり、バランスシート全体の大きさに占める

流動負債の割合は25%程度の企業が多いことを示している。

(上図では、支払利息の大きさを無視して計算しているので、それを考慮すると流動負債の割合は25%未満ぐらいがノーマルな状態と言えそうだ。)

(最後に)

データ分析の結果からも、ROEが使えない指標である事は明確だが、ROICの代替として、ROAを見てもある程度は機能しそうに見える。

ただし、業態によっては、流動負債の割合が大きくなり、ゆがみが生じる点には注意が必要だ。それを避けるには、バランスシートの割合(かROIC)を併せて確認した方がよいであろう。

 

副産物として、流動負債の割合は25%未満ぐらいの企業が多そうだという事が分かった。

(おまけ)

業種の違いによって、バランスシートも全然違ってくるので、やはり、比較する場合は、同じ業種間で比較するのが良いという事を知る良い事例だった。

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