【さらっと 銘柄紹介 】 Copart コパート(CPRT)
中古車オークションのコパート。事故で全損になった廃車を修理業者、解体業者、中古車業者へオークションを通じて販売する。
気になる株をピックアップ、さらっと銘柄を紹介します。
では、さらっと銘柄を紹介します。
Copart コパート (CPRT)
事故で全損等になった廃車を修理業者、解体業者、中古車業者へオークションを通じて販売する。
廃車の提供元は主に保険会社。保険会社からの依頼によりサルベージされた廃車を扱う。規模は小さいが他に金融機関からの差し押さえ等も扱う。
基本的には、オークションの「仲介手数料」を収入源とするが、イギリス、ドイツでは保険会社から車両を買い取って、リスクを取りながら、販売も行っており、販売のキャピタルゲインも収入源となっている様子。(イギリスは手数料へ切り替えた様子。2020年3月の決算より)
カナダ、イギリス、ブラジル、アイルランド、ドイツ、フィンランド、アラブ首長国連邦、オマーン、バーレーン、スペインの200箇所11か国でビジネスを展開。
売上は、アメリカ国内が82.6%、国外が17.4%。
では、ざっくりと事業概要を把握したところで、財務分析をしてみましょう。
10年分の財務諸表
- PL
- 売上:順調に伸びている。
- 利益率:販管費が下がり、利益率が伸びている。
- ROIC:29.15%
- BS
- 負債の割合は低く健全性が高い。
- M&Aをする会社でみられる凸凹がみられる。
調べると下記の時期に海外進出しており、その際に現地企業を買収した影響と推察される。- 2012年アラブ首長国連邦、ブラジル、ドイツ
- 2015年バーレーン、オマーン
- 2018年フィンランド
- 効率性
- キャッシュコンバージョンサイクルが -14.34。
- 会員費やデポジットがマイナスに寄与していると推察。
会員費:プレミアム会員は、200ドルの登録料と400ドルのデポジットが必要。
デポジット:通常会員は入札金額の10%のデポジットが必要。
- 配当、配当性向
- 配当なし。
- 自社株買い
- 10年間で29.4%の自社株買いをしている。
(配当で株主へ還元した場合、課税対象(受領した株主)になるため、長期投資の対象としては、配当を出すより、自社株買いをしている企業の方が好ましい。)
- 10年間で29.4%の自社株買いをしている。
ポイント
売上の急成長もすごいが、販管費が下がり、利益率が伸びているのが魅力的な企業である。
コパートの強さは何か?
2020年度1Qの決算報告を確認すると、
昔は、回収された廃車は、スクラップ時の金属の値段で取引をされていたが、ここ4年間は四半期の決算報告で、スクラップの金属価格について、1度も言及した事ない。近年は金属としてではなく、修理可能な車としての価値で販売されている。
と述べている。
つまり、コパートは廃車のオークションを通じて
車を処分して保険の支払いの損失を補填したい「保険業者」と車体・部品・素材を安く仕入れたい「修理業者、解体業者、中古車業者」を引き合わせて、スクラップ金属の価値しか無かった廃車に対して、「再生可能な中古車、または部品」として、価値が評価される新たな市場を創り出し、その市場が成熟しつつあり、廃車の価値が高まっていると言うことだと思われる。
マーケットが存在しないために、
正しく評価されていなかった廃車に生命を吹き込んだのである。
そして、このビジネスモデルは、このマーケットの参加者が増加し、流動性が増えるに連れて、在庫が減少するだけでなく、正当な価値(高値の落札)で取引される機会が増えて行くような、ネットワーク効果(後述)があり、規模の拡大で売上・利益が向上するビジネスのように思われる。
整理すると、
コパートの強さは下記の3点にあるように思われる。
- 廃車の価値が正当に評価される市場を創り出した。
- 参加者が増える事で流動性・落札価格が向上し、売上・利益が向上するネットワーク効果を持つ。
- インターネット販売は規模が拡大に比例して費用が増大しない。
つまり、コパートの強さは市場を創り出した先見性と、流動性の創出、および流動性が高くなればなるほど売上と利益が伸びるネットオークションの性質が寄与しているものと思われる。
どこまで規模が拡大するのか分からないが、規模が拡大すればするほど、強くなって行くビジネスモデルのように思われる。
(11/22時点でPERが30.63)
(補足)ネットワーク効果
ネットワーク効果について
電話は1台では価値がないが、使う人が増えれば急激に価値が増大する。
下記のように、n(n-1)/2の式でコミュニケーションルートが増えていく。
- 1台:通信対象0
- 2台:通信対象1
- 5台:通信対象10
- 10台:通信対象45
- 100台:通信対象4950
利用者が増えると急激にネットワークの価値が高まってくる形態の事をネットワーク効果(ネットワークの外部性)と言ったりする。
COPARTのオンラインオークションと言う事業形態は、M&A等で規模の拡大させ、売り手・買い手の参加者を増やすと、どんどん価値が高まっていく効果があるように思われる。(VISA、Masterなんかも利用者が増えると価値が高まるネットワーク効果がある。)
(補足)コパートの手数料
まず、会員費と入札する際のデポジットは下記の様になっている。
- 会員費:プレミアム会員は、200ドルの登録料と400ドルのデポジットが必要。
- デポジット:通常会員は入札金額の10%のデポジットが必要。
これが、キャッシュコンバージョンサイクル「-14.34日」に寄与していると考えられる。
次にオークションの手数料は下記の様になっている。
参考:コパートのホームページより。
会員のランクや条件によってABCDに分かれている。
低い価格帯の方が手数料の割合は高くなっており、高価格帯になるに連れて高くなっている。
単純に比較できないが、メルカリやヤフオクやラクマの手数料が3.5%~10%であることを考えると、結構高く感じる。(ただし、Aランクで高価格帯になると4%まで下がっていく。)
(おまけ)事故件数の推移
コパートの主な仕入れ先は事故車両のサルベージである。製造業ではないので、需要と供給で生産量が決まるわけではなく、走行距離と事故率で供給が決まることになる。
市場調査のため、
アメリカの自動車事故の件数の推移を調べてみたら、
減少傾向にあったが、2015年あたりから、増加している様子。
(その後、また減ってきていますが)
原因はスマホではないか言われており、
4分の1の事故がスマホ操作が影響しているとの統計も。
お気をつけください。
出典:リンク
(おまけ)車両保管ヤードについて
コパートのIRを見ていると、やたらとヤードをアピールしているのが目に付く。ヤードの大きさが重要な競争力を生み出しているのだ。
サルベージした車を保管できるヤードの大きさが資本力が無い企業への参入障壁となっている。また、ヤードの大きさが豊富な品揃えを可能にし、集客に繋がり、流動性と落札価格を向上させ、早く・高く売却できることで、仕入れ先の保険業者からも選好される差別化要因となる。
そんな、コパートの重要な競争力の原点となるヤードについて調べて見た。
コパートのダラスの施設をGoogleMapで調べてみた。
敷地内に車が大量に並んでいるのがわかる。
少し拡大してみよう。
7台ずつ縦に並べている。
真ん中の車を出したい時は、必ず3台動かす必要がある!
などと、どうでもいい想像をしてみる。(笑)
あれ!? 右上に何か変なものがあるぞ!
更にアップしてみる。
!! ボートも取り扱っている!
オークションで売られている物を調べてみた。
車だけでなく、ボート、ジェットスキー、スノーモービル、フォークリフト、産業機器等、幅広く取り扱っている。
まぁ、保険会社の保険が効くものは、なんでも対象になり得るからね。
こんな感じで、トレーラーの廃車を売っている。
現在、2万8000円ぐらいで入札されている($275)
こんな感じで、フェラーリを売っている。
現在、1800万ぐらいで入札されている。($1780,000)
ドバイの富豪が買うのかな?
そういえば、コパートはドバイにも進出していたなぁ。
GoogleMapでドバイを調べてみる。
すごい車の数!
あれ?でもおかしくないか?
右側をみると、縦に12台並べている。
真ん中の車を出したい時は、必ず5台動かす必要がある!
ドバイの車の並べ方、改善の余地がある気がする…
などと、どうでもいい事を調べてました。
(おまけ)
この会社は、ビジネスを推進する力強さと商機を掴むセンス良さを感じるんだけど、会社のロゴや、決算報告のグラフや、ホームページを見ると、デザインのセンスは全く感じられない。(笑)
(うーん)
(斜めに線引けないのかな?)
(どんよりしている)
ビジネスセンスと推進力は良い会社だと思います。(笑)
それより、自分のサイトのロゴを何とかしろと言われそうですが・・・
最近の決算はこちら

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