財務分析★殿堂入り

不正会計の傾向について

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財務分析
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不正会計の傾向について

投資家としては、不正会計をしそうな企業に投資したくない。なんとか兆候を見つけて回避したいところ。と思って、不正会計の傾向について下記の3点を調べて見た。

  • どんな時に起きるのか?
  • どういう手法があるのか?
  • 何に気を付ければよいのか?

どんな時に発生するのか?

  • 業績が悪い
  • 何とか今期だけ、凌ぎたい。
    • 上場廃止、管理銘柄にならないようにしたい。
    • 重要なイベントがあって、それを凌ぎたい。
    • 目標値に少しだけ届かない。何とかしたい。
  • 巨額の損失が発生

どういう手法があるのか?

不正会計の傾向を整理してみた。

大きく分けると4通りに分類できそう。

  • 未来へ先送りする。
  • 未来から借りてくる。
  • 無から有を生み出す。
  • 隠して見えなくする。

図にすると、下記の通り。

不正会計の傾向

図の①~⑥について、簡単に解説してみる。

①在庫を過大に資産に計上する。

在庫を過大に資産に計上することで、コストを未来へ先送りする方法。

商品(製品)の製造にかかったコストは、商品に按分(配賦)される。そして、売れた分だけが製造原価として費用に計上できる。

要するに在庫に掛かったコストは、売れてないので費用に計上できない事になる。

これを利用して、在庫(商品)を本来の個数よりも過大に計上すると、今期の費用に計上される費用を少なくできるため利益が出ているように見えるという方法である。

更に、高度な手法として、商品によってかかるコストが違うため、在庫数は同じでも高い製造コストのものに帳簿上入れ替えるという方法がある。(製品の違いまで、把握するのは難しいので、在庫の個数があっていれば、チェックをごまかせる可能性が高くなる。)

未来へ先送りする。

②経費を資産に計上して未来へコストを先送りする。

経費を資産に計上して、コストを未来へ先送りする方法。

2002年7月21日に破綻したワールドコムが使った手法。

他の通信会社との相互接続費について、本来は費用として一括で計上すべきところを、資産として計上し、費用を数年間にわたる減価償却として処理し今期の費用を少なくして利益が出ているように見せる手法である。

③固定資産を売却し借りて利益を押し上げる。

固定資産を売却して、未来から利益を借りてくる方法。

会社のオフィス等を売却し、売却した会社からリースでオフィスを借りることで、一時的な利益を出す手法。売却により、将来、掛かるコスト増えるので、未来からの前借りのような一時しのぎの方法である。

④担保を元手に銀行から借入し売上に計上。

担保を元手にして銀行からお金を借りて、売上として処理する事で、無から利益を生み出す方法。

売掛債権などを担保にして、銀行から融資をして貰ったお金を売上として計上して、売上、利益を押し上げる手法。

⑤循環取引で売上を押し上げる。

グループ間・内部間の取引きを使って、あたかも売り上げが増えているように見せ、無から利益を生み出す方法。

下記のような循環取引により売上を押し上げる手法である。物がぐるぐる回っているだけなので、実際には富を生み出していないが、売上をかさ上げすることができる

 A社(売上100万円、利益1万円)

→B社(売上101万円、利益1万円)

→C社(売上102万円、利益1万円)

→A社(売上103万円、利益1万円)→B社

嘘のような話だが、実際にあった話らしい。

⑥負債等を子会社に押し付けて、連結決算から外してしまう。

決算の連結対象外の会社に引き取らせる事で、損失を隠して見えなくする方法。

買収の失敗など、多額の損失が出てしまった際に、子会社に損失を割り当て、連結対象
外にすることで、損失を隠ぺいする方法
である。

不正会計の6種類を4つに分類

以上、4通りに分類してみました。

  • コストを未来へ先送りする。
  • 利益を未来から借りてくる。
  • 無から有を生み出す。
  • 隠して見えなくする。

何に気を付ければよいのか?

では、何に気を付ければよいのか?

「棚卸資産回転率」や「在庫」の推移を注視

上記①の「費用を在庫に乗せて費用を先送り。」(同じ個数の経費の高い物とすり替え。)の場合は、期末の在庫が増えていないか?期をまたいで在庫が大きく変動していないか?棚卸資産回転率や在庫の額の推移に注視すると良いと思われる。

「減価償却費」と「固定資産資産」の推移を注視

上記②の「経費を資産に計上し減価償却で費用を先送り。」の場合は、会社の会計士でもない限り、資産に計上したものが妥当か?を検証する方法がないため、減価償却費の額の増減と、固定資産資産の増減を注視するぐらいしかできないと思われる。

「負債」と「利息の支払いによる利益率」の推移を注視

上記③の「担保の借入を売上に計上。」の場合は、会社の会計士でもない限り、難しそうではあるが、負債の増減と、利息の支払いによる利益率の悪化に注視すべきだろう。

「固定資産」の推移を注視

上記④の「固定資産を売却し借りて利益を押し上げる。」の場合は、固定資産の売却益は確認できるので、利益が何によって出ているのか、固定資産を売却するなどのリストラをするぐらい利益を出すのに苦しんでいるか、察知することはできるように思われる。

「売上の伸び」と「利益率の悪化」を注視

上記⑤の「循環取引で売上を押し上げる。」の場合は、売上が目標値をギリギリ達成しているか、横這いぐらいのときに、実は売上を嵩上げするために、循環取引をやってました。という事はありそう。循環取引は性質上、売上が伸びても、利益が伸びないので、利益率の悪化に注意すると良いと思われる。取引先の分散度を公表している会社だと、信頼できそうに思われる。

「子会社の業績」を注視

上記⑥の「赤字の子会社を連結から切り離す。」の場合は、会社の会計士でもない限り、難しそう。(個人的にM&Aに対して拒否感を覚えるのは、過去に、このような不正会計を見てきたからだと思われる。)ニュースなどを見ながら、子会社の業績にも注意を払うのが良さそう。

(まとめ)

まとめると、下記のような点に注意した方がよさそうに思われる。

  •  在庫と棚卸資産回転日数の推移
  •  減価償却費と固定資産の推移
  •  売上に対する利益率の推移(悪化)
  •  会社予想と実績の乖離
  •  業績を出すのに苦しんでいるか、余裕があるか。

 

間違った情報を発信する意図はありませんが、

専門家ではないため、誤解・誤りがある可能性があります。

 

以上、不正会計について整理してみました。

参考になれば幸いです。

(おまけ)

私も無から有を生み出せれば、財布がパンパンになるのになぁ。

 

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