【さらっと 銘柄紹介 】Zoom ズーム(ZM)
新型コロナウィルスの影響で「在宅勤務、リモートワーク」銘柄として注目されているビデオ会議システムZOOM。「Skype、WebEx、Google ハングアウトMeet」と比較しても必要なデータ量が少なく、通信品質の安定に優位性があるZOOM紹介です。
ZOOM(ズーム)とは?
Zoomの差別化ポイントは?
- ZOOMって何が良いのか?
- ZOOMって何が凄いのか?
ZOOMの差別化のポイントはネットワークトポロジー(通信接続形態)にある。
- ZOOMはクラウドを利用したハブ・アンド・スポーク型で電話会議を実現し通信量を一定にして通信品質を安定。上の図の様に、ZOOMはサーバ側で一度、通信を集約し、通信量を減らす。
- 実際に必要なネットワーク帯域を見てみると、参加人数が増えるとSkypeやGoogleハングアウトMeetingやWebExは、必要な通信量(ネットワーク帯域)が増加するのに対し、ZOOMは参加者が増加しても一定(1.5Mbps)。(Microsoft Teamsも同等の通信量であり、同じような方式と推察。)
ビデオ会議システム 通信量の比較
- 例:Skype(Microsoft)の場合 参考
- 3人 512kbps~2Mbps
- 5人 2~4Mbps
- 7人以上 4M~8Mbps
- 例:Skype(Microsoft)の場合 参考
- 例:ハングアウト Meeting(Google)の場合 参考
- 2人 1~2.6Mbps
- 5人 1.5~3.2Mbps
- 10人以上 2~4Mbps
- 例:ハングアウト Meeting(Google)の場合 参考
- 例:WebEx(Cisco)の場合 参考
- 7人 920kbps
- 26人 4.3Mbps
- 例:WebEx(Cisco)の場合 参考
- 例:Microsoft Teams(Microsoft)の場合 参考
- 250人まで 1M~2Mbps
- 例:Microsoft Teams(Microsoft)の場合 参考
- 例:Zoomの場合 参考
- 1000人まで 1.2~1.5Mbps
- 例:Zoomの場合 参考
圧倒的に、Zoomの通信量は少ない事が見て取れる。
ZOOMの特徴
- 通信品質が安定。
- 参加者が多いほど優位性がある。
- 大企業で採用されやすい。
- 参加者は登録不要(主催者は必要)なので敷居が低い。
- 主催者が拡散してくれる。
- グロースしても追加コストは増えにくい。
- 録画機能/音声認識による議事録機能がある。
- 画面共有/ホワイトボード機能がある。
というような優位性・機能がある。
そんなZOOMについて、さらっと銘柄を紹介します。
気になる株をピックアップ、さらっと銘柄を紹介します。
ZOOM ズーム(ZM)
- 業種:ソフトウェア&ITサービス
- 創立:2011年
- 本社:アメリカ、カリフォルニア州、サンノゼ
- 従業員:2,409人
- 時価総額:300億ドル
- 会社概要:Web会議サービスのプロバイダー。クラウドテレビ会議、オンライン会議、グループメッセージング、およびソフトウェアベースの会議室システムを統合するクラウドネイティブなプラットフォームを提供。Windows、Mac、Linux、Android、BlackBerryなどに対応。
概要を把握したところで、財務諸表を見ていこう。
10年分の財務諸表
- PL
- 売上:順調に成長。
- (右下の売上の成長率を見ると88.39%と高い成長率。年々下落してきているが、新型コロナウィルスの影響でリモートワークが増えているので、今年は、増加が見込まれる。)
- 利益率:3.49%(赤字のSaaSが多い中で黒字は優秀)
- 売上高総利益率:81.49%(原価率が低い)
- 販管費:68.66%(割合が多い。営業に注力していると推察。)
- 運転資本が潤沢。
- BS
- 負債の比率が減少し急激に財務状況が改善。
ポイント
ZoomはIPO上場の当初から黒字化しており、非常に筋がいい。
システムは、完成しているため、今後、大幅な開発費が発生する事も無いと想定される。議事録の自動化機能はローカライズが必要かもしれないが、それ以外の部分では、複雑な機能もなく、会計ソフトのようなローカライズに伴う開発コストは発生しない。
利用ユーザが増えたとしても、クラウド環境を増強する程度だろう。
今は規模の拡大のために、広告・営業などに多額の出費をしているようだが、上図で示したように、原価率が低く、開発費も多くかからないため、一度グロースすれば、高い利益率を維持すると想定される。
更に、ZOOMの強みは、大規模な会議での通信品質に優位性があるため、会議・セミナーの主催者が広めてくれるし、品質に満足した参加者が、口コミで広めてくれる。
1対1の通信や少人数の会議・通話ではSkypeやLINEのような通信が今後も選好されるが、大人数での打ち合わせが必要となる大企業ではZOOMが選好されていくだろう。
しかし、一方でMicrosoftが会議システムをSkypeから、Teamsを主力に変更してきており、Teamsで必要になる通信量(ネットワーク帯域)はZoomと同等になっている。Microsoftの動向には注視・警戒が必要だろう。(参加可能人数の上限はMicrosoft Teamsが250人で、ZOOMは1000人となっている。)
(おまけ)バリュエーション
ZOOMは今は、グロースするために販管費(広告費・営業費)を費やしているが、販管費が平均レベルまで減ったと仮定してバリュエーションを見て見よう。
売上高総利益率と純利益率(400社)
上図は、米国株400社の売上高総利益率と純利益率の関係を図に表したもの。
Zoomの売上高総利益率が81.49%。(財務諸表の図より)
80%ぐらいだと、上図より平均的に純利益は25%程度。
Zoomの利益率が少し良くて40%程度だと仮定する。
現在の株価からPSRは61.96倍ぐらい。(2020/3/30)
利益率が40%だとPERは2.5倍なので、PER154.9倍となる。
高い・・・
まぁ、成長率も高いし、今期も100%以上で伸びるかもしれないので評価が難しい。
(おまけ)
Google Trends
ZOOMのGoogle検索数が上がっている。 株価は十分高いので手は出さないけど… アメリカの都市に交じって ベトナムのハノイが入っているね。 https://t.co/0WZNk1LsdB
Zoomサイトへのアクセス数
ZOOMサイトへのアクセスは、月間で15%増加。 (by SimilarWeb) もともとシェアの高いアメリカの伸びは少ないけど、香港が2460%、イギリスが12%伸びているね。 https://t.co/ZA4WTiPxuj https://t.co/azRRTq4k5p
ビデオ会議ZOOMのティッカーシンボルはZM
お間違えの無いように。
これZOOM間違いで 誰か買ってたんじゃないかな? テレビ会議はティッカーコードZM https://t.co/D0lZDshZFO
(おまけ)
ペリーを乗せた
「黒船」が浦賀沖に来航し「明治維新」へ繋がった。
新型コロナウィルスを乗せた
「ダイアモンドプリンセス号」が横浜港に来航し「働き方改革(リモートワーク)」に繋がった。
暗いニュースも多いけど
働き方維新の幕開けを感じるぜよ!
(外圧によってしか変われないという話も…)
(おまけ)セキュリティ
ベンチャー企業にありがちなんだけど、Zoomは、セキュリティに対しての認識が少し甘いように感じる。
エンドトゥエンドで暗号化されていない
Zoomの仕様上、一旦サーバ側で通信を暗号化されていない状態にして、データを統合する事で通信量を減らしている。これはMicrosoftのTeamsも同じ。もう少し大きくとらえると、クラウド上にデータを保管するサービスは、ほとんどこれと同じセキュリティレベルなので、この件は、大きな問題ではないと思う。(国家・企業のトップレベルのセキュリティが必要なものには、Zoomは向かないが、Gメールや、ドロップボックスみたいなパブリッククラウドのサービスを使いながら、Zoomだけ敬遠するのは、過剰反応だろう。)
中国のサーバを使った話
カナダでの電話会議の情報が中国のサーバを経由していたという話。
基本的には、電話会議を行う場合、発信元に近いサーバーが選好されるが、その時間帯に空いているサーバーが中国のサーバーだったという事だろう。(時差の観点から中国のサーバーは空いているのは頷ける。)
ただし、これは少しナイーブな話なので、意図的に中国を経由させたみたいな文脈で捉われかねない事案。もう少しデリケートに対応すべきだったと思われる。攻めに強く守りに弱いというベンチャー企業にありがちな、傾向の様に思われる。(中国にサーバーを置く場合、情報開示を求められたら、公開する必要がある。)
案の定、CEOが中国人だとか中国企業だとかいう話をしている人がいるが、CEOは中国出身だがアメリカ国籍だし、Zoomはアメリカの企業である。
この問題に対しては、有料プランのユーザは、使用サーバーの地域を指定できる対応をするらしい。
URLのサニタイジング問題
Zoomでは会議をする際に、主催者が参加者に向けて、URLを送付して会議を行う。送付したURLに悪意ある情報(PCへのファイルパス等)が含まれている場合、セキュリティ上、問題がある動作をする問題があった。
通常、セキュリティ上、問題がある文字列が含まれる場合、「削除したり、無効化するのが基本。(サニタイジング)」これはセキュリティの初歩なので、これは弁護の余地がない程、稚拙なミス。リリース前に、十分なセキュリティのテストができていないという組織的なセキュリティに対する認識の甘さを露呈している。
外部からセキュリティの有識者を呼んで重役につけ、セキュリティを強化していくという方針らしい。株主向けのアナウンスには、それでいいかもしれない。しかし、実態は、そんな高度なレベルの話ではなく、テストを現場レベルに徹底させるという運用の問題であるように思われる。
まぁ、昔はMicrosoftもとりあえず製品出してから、修正パッチを出して問題に対応していたし、ある程度、創業期の企業は、そう言うものかなーと言う気もする。
友人の情報漏洩の話
緊急事態宣言を受けて、友人は在宅ワークをしている。
Zoomを使って、海外の人と仕事の打ち合わせしているらしい。
その際、打ち合わせ後に、カメラを切り忘れて、パンツ姿を情報漏洩してシマッタらしい。
このあたり、Zoomのセキュリティ対策が待たれるところである。
(画像認識でパンツを透明にするとか。)
完全に、別件である。
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