【さらっと 銘柄紹介】Lululemon ルルレモン(LULU)
1966年に販売開始。 キャッチフレーズは「手を荒らさない洗剤」。台所用洗剤「ママレモン」(LION)の紹介ではなく、
ヨガウェアブランド。ルルレモンの紹介です。
気になる株をピックアップ、さらっと銘柄を紹介します。
Lululemon: ルルレモン LULU
- 業種:衣服、繊維
- 創立:1998年
- 本社:カナダ、ブリティッシュコロンビア州、バンクーバー
- 従業員:15,700人
- Marketcap:$31B
- 会社概要:lululemon athletica inc。アスレチックアパレルのデザイナー、ディストリビューター、小売業者。直営店と消費者直販の2つのセグメントで運営。アウトレット、ショールームでの販売、一時的な場所での販売、卸売アカウントへの販売、倉庫販売、ライセンス提供を行っている。
消費者直販セグメントは、lululemonとivivvaのeコマースWebサイトおよび、地域固有のWebサイトで販売。
女性、男性、女の子向けの幅広いアパレルとアクセサリーを提供。品揃えは、健康的なライフスタイルや、ヨガ、ランニング、トレーニング等の運動用に設計されたパンツ、ショートパンツ、トップス、ジャケットなど。また、バッグ、ソックス、下着、ヨガマット、ウォーターボトルなど、さまざまなアイテムを含むフィットネス関連のアクセサリーも提供。
男性向けに注力するため、女の子向けの「ivivva」は縮小傾向。
大体のイメージが掴めたところで財務諸表を見ていきたい。
10年分の財務諸表
- PL
- 売上:右肩上がりに順調に成長。
- 利益:売上の増加に応じて増加。
- ROIC:31.8%
- BS
- 流動資産が多い。(特に当座資金)
- 株主資本が多い。
- 効率性
- 気になる程ではないが、多少変動あり。
- 配当、配当性向
- なし
- 自社株買い
- 5.6%の2016年あたりから自社株買いを実施。
- 配当を出さず自社株買いで株主へ還元。
(参考)NIKE
ポイント
売上成長率の高さ、利益率の高さ、総資産回転率の高さ、ROICが示す高い収益性、手持ち流動資産の潤沢さ、NIKEに見劣りしないほど、財務状況が良い。
LULUがNIKEに劣っているのは、総資産回転率がわずかに劣っている点、自社株買いの積極性、効率性の指標の安定感ぐらいである。
左 LULU、 右 NIKEの指標
- 売上成長:24.13% > 7.47%
- 利益率:14.71% > 10.3%
- 総資産回転率:1.61回 < 1.69回
- ROIC:31.8% > 30.83%
- 当座資金:40% > 20%
なぜこれほど、財務が優秀で、売上が拡大しているのか?
考えられる可能性は下記の3つ。
- ライフスタイルの変化の波に乗った事。
- デザイン性・機能性が優れている事。
- 草の根マーケティング。
強さは草の根マーケティング
マーケティング方法
大企業は潤沢な資本を背景にして、有名人・有名選手と提携して、マスメディアで広告を打つのが一般的である。(上図の左)これに対して、ルルレモンはあまり有名でないアンバサダー(大使)を通して地域密着型のマーケティングを行っている。(上図の右)この手法は、大企業に対抗する中小企業でよく取られる戦略である。このマーケティングは手間がかかるが強い関係性の繋がりを生み出し、ロイヤリティの高さ、ブランドの強さになる。
もう少し、具体的に説明してみよう。
ルルレモンは世界に2000人以上のアンバサダーがいる。アンバサダーは、無料のルルレモンのアパレルや商品と引き換えに、スタジオやルルレモンの店で、無料のヨガクラスを教える。これにより、インフルエンサーはルルレモンのマーケティングを促進するとともに、自分のヨガスタジオへの集客につなげる。
アンバサダーが集客してくれるし、無料の商品をアンバサダーが着てくれれば、宣伝になる。費用対効果を考えると効率が悪く、大企業が実施しない草の根マーケティングだが、ルルレモンの場合、両者がWin-Winになる絶妙なインセンティブの設計をする事で実現しているのである。
日本のアンバサダー
世界のアンバサダー
ルルレモンは、地道な草の根運動による地域密着型の関係性の強いマーケティングを10年以上前から行っており、これが企業の強さを生み出している。
ルルレモンの強さは、草の根マーケティングによる強さであるが、これは、時流を捉えた商材と広告方法が生み出した強さだとも言える。
時流の変化にマッチした「商材と広告」
- SNSにより顧客との関係性の築き方が変わった。
- 個人の影響力が強くなった。
- ライフスタイルに密着した関係性の強い商材。
- インスタ映えしやすい商材。
(まとめ)
商品のデザイン性・機能性も良いのかもしれないが、ルルレモンの強さは、時流を捉えた商材と広告方法、そして地道な草の根マーケティングによる強さにあると思われる。
調べる前は、ルルレモンの強さが理解できず、デザイン一つで簡単に失われる競争優位性だと考えていた。しかし、マーケティングの仕方を調べて見ると、顧客との関係性の築き方(保ち方)は一般的な広告よりも強いものであり、最初に考えていたよりも強い競争優位性を持っているように思われる。
1/11時点 PER 54.55倍 Forward PER 41.49倍
値上がりを保証するものではありません。投資は個人の責任で行ってください。
4半期決算、PER、市況、ニュース、チャートの確認をお勧めします。
(PERは15倍(~25)以下で買いたいが、良い株は高い…)
(おまけ)
ヨガのレギンスが流行っているのは数年前から見ていたのに、
この株を見逃していた…見てたのに、見逃していた。ん?見てたのに?
(おまけ)
出典:lululemon オンラインショップ
ヨガウェアだけでなく、デザイナーとコラボレーションして、洋服も売っている様子。
(おまけ)
GoogleTrendsを見て見ると、スパイクが見られる。
どうやら、ブラックフライデー(バーゲンセール)の時期に検索が多くなる様子。
ルルレモンのレギンス1万円ぐらいするみたいだし・・・そりゃ安く買いたいよなぁーと納得。
(おまけ)問題発生
実はルルレモンを調べていたところ、問題が発生した。創業者「チップ・ウィルソン」が辞めている(実質クビ)。まぁ、創業者が辞めることはあるし、それ自体は問題ではない。問題だと思った理由は、やめた理由が、「問題発言」によるものだからである。
創業者のウィルソンは下記のような発言をしている。
- 2013年にヨガパンツが透ける苦情について「一部の女性にはルルレモンは合わない。太ももの圧迫でこすれて擦り切れてしまう。」と語り、製品には問題はなく、太った女性に問題があるような発言をした。すぐに発言を撤回したが、多くのメディアが取り上げる事態となり、クレームが相次いだ。
- 2004年のインタビューで、ウィルソンは会社名の由来について聞かれ、日本人の発音できないような会社名にしたと語っている。LとRの発音の区別が弱い日本人をあざ笑うような会社名にしたらしい。
現場で働く人や、アンバサダーの努力が台無しである。
というところからの、怒りの冒頭の出だしに繋がっているのである。
こんな由来を持つ会社名は嫌だ。
よくこの会社名で上場したものだ。
よく日本で商売をしているものだ。
ルルレモンというより、
出典:マクドナルド ホームページ
間違えて発音して、レモモモンである。
なんなら、ヨガ教室行く時でも、
ルルレモン買うぐらいならママレモンを持参する。
出典:LION ホームページより
少しフォローをしておくと、前CEOは謝罪して辞任している。
出典:abc news 創業者の謝罪動画
そして、いまのルルレモンのCEOはカルビン・マクドナルドという人。この人は、LVMH(ルイヴィトン)の一部門であるSephora America’sの社長兼CEOを5年間務めていた人。ブランディングの大切さを十分に理解している人なので、ブランド価値を毀損する炎上発言はしないだろう。
レモモモンはマクドナルド。
ルルレモンCEOもマクドナルド。
点と点が線でつながった!
お後がよろしいようで…
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