株式投資・雑記

雇用統計と新規失業保険申請件数

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雇用統計と新規失業保険申請件数

雇用関係の各指標

雇用関係で発表されるデータは「雇用統計ADP雇用統計新規失業保険申請件数」などがある。

雇用統計の発表データには、失業率や平均時給が含まれている。

新規失業保険申請件数の発表データには、失業保険の新規申請件数や継続受給者や受給率が含まれている。

ADP雇用統計は給与計算代行サービスのオートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社が発表するデータで、雇用統計の2日前に発表されるため、注目される。しかし、雇用統計とADP雇用統計は乖離が発生する事が多いので注意が必要。(母数に偏りがある様子。)個人的には、あまり参考にしていない。

雇用統計が重視されているが、新規失業保険申請件数は毎週発表されているため、即時性が高く、早く状況を把握するのに役立ったりする

  • 雇用統計:毎月、月初の金曜日に発表
  • 新規失業保険申請件数:毎週、木曜日に発表

過去の雇用統計データと新規失業保険申請件数のデータを参考にして、いくつか分析をしてみたい。

新規失業保険申請件数から雇用統計の失業率を予想

新規失業保険申請件数から雇用統計の失業率を予想してみよう。


青線:新規失業保険申請件数、オレンジ:継続申請件数(どちらも季節調整あり。)
緑:失業保険受給率、紫:雇用統計の失業率

新規申請(青色)は減少しているが、継続申請(オレンジ)は増加し続けているのが全体の概況である。

次に、雇用統計は12日を含む週が集計対象である。(これはADPも同じ)
黒の縦線が雇用統計の集計週を示す。
集計週の失業保険受給率と雇用統計の失業率を比較すると下記の通り。

  • 3月 受給率 1.2% 失業率 3.5%(乖離2.3%)
  • 4月 受給率 12.4 % 失業率 14.7%(乖離2.3%)

失業保険の受給率は、受給資格がない人は含まれないため、失業率より小さい値になるのだが、乖離幅を見ると、受給資格がない人が2.3%程度、存在するという事を表しているように思われる。(どちらの月も2.3%となっているのは、たまたまの偶然。)

5月28日(木)に5月16日週の受給率に発表されるため、5月の集計週の受給率は不明だが、5月9日週に既に受給率は17.2%に達している。過去を参考にして乖離幅の2.3%を足すと失業率の予測は19.5%になる。

5月28日 追記
本日発表されたデータによると、雇用統計の集計週である5月16日週の受給率は14.5%であった。前週から、今まで増加していた受給者がついに、386万人減少に転じた。5月9日週の受給率17.2%(失業率予測19.5%)をピークとして、既に最悪期を脱した可能性がある。

  • 受給者 2,105万人 ← 2,491万人(-386万人)(季節調整あり)
  • 受給者 1,905万人 ← 2,279万人(-374万人)(季節調整なし)

FRBのパウエル議長は5月17日に失業率は20-25%まで悪化する可能性があると述べているが、
6月5日(金)に発表される5月雇用統計の失業率は20%を超えない可能性が高いように思われる。不確定要素があるが、過去の乖離幅を参考にすると、失業率は16.8%程度だろうか。

  • 5月 受給率 14.5 %(乖離2.3%と仮定) 失業率 16.8%(推定)

失業率が20%を超えていても、責任はとれませんので、悪しからず。

新規失業保険申請件数の累計する違和感

今までの新規失業保険申請件数を累計すると〇〇件になるという記事を見るたびに、それって意味があるのかなーとモヤモヤする。

新規失業保険申請件数の累計と、実際の失業保険受給者を比較してみよう。


青が新規失業保険申請件数で、積み上げていくと黄色の累計グラフになる。
オレンジが失業保険受給者の増加分で、積み上げていくと灰色の受給者グラフになる。
(5/16週の受給者はまだ発表されていない。)

図を見て分かるように、
累計(黄色)より、受給者(灰色)は、かなり少ない

この差は、再雇用されたか、申請が却下されたか、受給資格の期限が切れたかだと想定される。

受給資格の期限は、州によって条件が異なるのだが、26週間ぐらい受給できるらしい。つまり、最悪の状態が続くと半年後には失業保険の受給率にカウントされない失業者が発生するという事になるが、現時点では、最近、失業した人はカウント対象外にはなっていないと考えて良いだろう。

失業保険を受給するには、一定の労働期間が必要になるが、若年層だと、この条件に合致しない可能性が高い。若年層の失業が高いことを考えると、受給資格無しと判定されて却下されている人もいそうに思われる。(却下されて再申請した場合、重複カウントになるのではないか?という疑問もある。)

州によって状況はまちまちなので、働きだした人・再雇用された人も、そこそこいると思われる。

失業保険の受給率が発表されているのに、なぜそれを使わずに、再雇用がカウントされないような数字を根拠として使うのかモヤモヤしながら見ている。

失業の傾向

4月の失業率は14.7%。しかし、個別の失業率を見て見ると、違う状況が見えてくる。

  • 大卒以上(25歳以上) 8.4%
  • 高卒未満(25歳以上) 21.2%

パートタイム雇用(働きたくてもフルタイムで働けない人)も景況感に反応しやすい指標で急激に増加(悪化)している。

つまりは専門性が低く、代替性の低い仕事に従事する人の失業率は悪化しやすい事を示している。これは2007,8年のリーマンショック・サブプライムショックの時も同じ動きをしている。

雇用統計では他にも様々な区分でデータが公開されている。 人種別の失業率は、こんな感じ。

  • 14.2% 白人
  • 14.5% アジア人
  • 16.7% 黒人・アフリカ系
  • 18.9% ヒスパニック・ラテン系

現実はきびしい・・・

このように、雇用統計のデータを分解して、景気動向に敏感に反応する指標を注視すると、いち早く状況の悪化を把握できたりもする

平均時給の傾向

平均時給を見ると、4月の雇用統計では平均時給は8%増加している。

景気が良くないのに、なぜ8%も増加するのか疑問に感じるが、これは、代替性の高い仕事に従事する低所得層が失業したことにより、全体の時給が底上げされ、平均時給が高くなった様子。景気が悪化すると、平均時給が増加するというのは新しい学びであった。

今回ほど劇的ではないが、リーマンショック・サブプライムショックの時も同じ動きをしている。

しかし、青の線を見て見ると、平均時給は、2007年からずっと増加していてうらやましい限りである。

最後に

流れてくるデータやメディアで報道される情報を鵜呑みにしないで、一時情報にあたってデータを丁寧に分解して確認して見ると、いろいろと学びがあって、知らなかった事が分かってきたりする。

景気後退局面の失業率のデータを見ていると、学歴によって、失業率に明らかな差があるので、ちゃんと勉強して学歴を積むことの重要さが伺える。

個人的には、社会に出てからの時間の方が、圧倒的に長いので、学歴よりも、学び続ける事の方が重要だと思っているけれど、学歴は雇用に対して一定の強さがあるように見て取れる。

まぁ、いずれにせよ、代替されないような専門的なスキルを身に付けることが重要だと再認識させられるデータであった。

何かの参考になれば幸いです。

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