新型コロナの影響で、大きく下落した株価だが、
迅速な金融政策、財政政策により、急激なリカバリを見せた。
新型コロナの影響で、業績が落ち込む企業が多いが、
一方では新型コロナで需要が追い風になった企業もある。
S&P500とNasdaq総合指数を見比べると、インターネット系のサービスには追い風になっているというのがざっくりとした印象だが、その中でも、不可逆的な流れと一時的な流れや、コロナ以外の要素が複雑に絡み合った流れがあるように思われる。
これらの複雑に絡み合った要素を、トランザクションの観点から紐解き、ポストコロナ、アフターコロナへの今後の予想に役立てるとともに、来るかもしれないコロナの第2波への備えとしたい。
今回、トランザクションの推移として、similarwebが無料で公開している情報を引用させて貰っている。役立つ情報を無料で公開してくれているので、確認して見て欲しい。より詳細な分析をしたいという人は、有料プランに入って分析してみるのも良いだろう。
オフラインショップ&オフラインショップ系
Walmart
ウォルマート、4月にピークを迎え、5月、6月に下落、7月にまた増加。ピーク時に接近している。
ターゲット、コストコと比較すると、ピークの水準に戻っている。オンラインショップ利用の継続率は、他と比較すると高いようにも見える。
Amazonの利用者は2.5Bなので、規模としては5分の1程度である。
Target
ターゲット、4月5月にピークを迎え、6月に下落、7月に徐々に増加。
Costco
コストコ、4月にピークを迎え、5月6月に下落、7月に徐々に増加。
HomeDepot
ホームデポ、5月にピークを迎え、6月に少し減少。7月に少し増加。
シャットダウン、ステイホーム、在宅ワーク等の影響で家にいる時間が増え、自宅の環境を充実させるためか、トラフィックが増加し続け、少し減少しているものの、高い水準を維持している。
Bed bath & Beyond
ベッドバスアンドビヨンド、5月にピークを迎え、6月は横ばい。7月にピークを超えてきている。
店舗の売上が不調だが、オンラインは順調な様子。
Best Buy
ベストバイ、他と類似した傾向だが、変動がなだらか。
Nike
Nike、他と類似した傾向だが、ピーク時に接近している。
Lululemon
Lululemon、Nikeと類似した傾向だが、ピーク時を超えてきている。
ULTA Beauty
ULTA、他と類似した傾向だが、変動がなだらか。
オンラインショップ系
Amazon
Amazon、他と類似した傾向だが、変動がなだらか。ピーク時に接近している。
E-bay
ebay、他と類似した傾向だが、変動がなだらか。ピーク時に接近している。
Etsy
etsy、他と類似した傾向だが、5月の水準を超えてきている。
手芸や古物、独自の工場生産などの商品を扱う電子商取引サイト。
約40%が米国外の販売者を占める。
キレイなフォントを使った女性向けの上品な越境ECサイトという印象。
WayFair
WayFair、5月にピークを迎え、5月と同じぐらいの水準に増加中。
家具や家庭用品を販売するアメリカのeコマース企業。
Overstock
Overstock、5月にピークを迎え、5月と同じぐらいの水準に増加中。
名前の通り、主にメーカーの余剰在庫やアウトレット品を販売しているオンラインの小売業。
Farfetch
Farfetch、Amazonと類似した傾向だが、変動がなだらか。ピーク時に接近している
世界中のデザイナーのアパレル衣料品を扱う、インターナショナル・ファッションEコマースサイト。
Kirkland
カークランド、5月にピークを迎え、7月にピークの水準を超えてきている。
インテリア、家具、テキスタイル、アクセサリー、ギフトを販売するアメリカの小売チェーン。
小売りチェーンのカークランドは、創業者である「カールカークランド」と「ロバートカークランド」の名前に由来するらしい。
Kirklandといえば、コストコのカークランドシグネチャが有名だが、それとは別物。因みに、コストコのカークランドは、本社のあるワシントン州カークランドに由来する。
Paypal
Paypal、他と類似した傾向だが、変動がなだらか。ピーク時に接近している。
Honey
Honey 4、5、6月をピークとしてなだらかに下落。
ブラウザ拡張機能を使って、アクセスしているサイトのクーポンを表示するサービスを提供。(Paypalが買収。)
Fetch Rewards
Fetch rewards
購入後のレシートを携帯アプリに読み込ませると、ポイント還元される。通常は、購入前のクーポンでお客を集客するが、Fetch rewardsは決済後にポイント還元することで、購入時に商品を選択するインセンティブを与えるという時間を逆転させた新しい発想。というと大げさか?レシートにクーポンを印字するのに近いサービスというと途端にしょぼく感じる。アプリのダウンロード数が上位だったので、知ったサービス。これはWebサイトへのトラフィックなので、正確な状況の把握としては妥当でない可能性がある。
Mercado livre
Mercado livre、南米、ブラジルへのコロナ波及が遅かったのを反映してか、ピークのタイミングが、少し遅い。全体的になだらかな推移。
Wish
Wish、5月にピークを迎え、なだらかに下落。4月よりは高水準を維持して推移。
売り手と買い手の間の取引を容易にするオンライン電子商取引のプラットフォーム。
Shopify
Shopify、他と類似した傾向だが、5月の水準を超えてきている。
Wix
Wix、他と類似した傾向だが、変動がなだらか。5月のピークに近付いている。
ホームページ制作ツール。
Offerup
offerup 5月にピークを迎え、6月に少し減少するも、5月の水準を超えてきている。
個人による中古品の販売サイト。アメリカ版のメルカリ。
Mercari
メルカリ 5月にピークを迎え、6月に少し減少するも、5月の水準を超えてきている。全体的に緩やかに推移。
メルカリはアメリカ展開もしているので、Offerupと比較。全体のトラフィックが93Mで、米国からのアクセスが26%なので、米国は24Mぐらい。上記のように、ライバルのOfferupは27Mぐらいなので、いい感じなのかもしれない。
bigcommerce
Big commerce、他と類似した傾向だが、変動がなだらか。5月の水準を超えてきている。
Shopifyに類似したサービス。
rakuten
Rakuten 3、4、5月と増加して少し減少してなだらかに推移。
Aliexpress
Aliexpress 3、4、5月と増加して少し減少してなだらかに推移。
中古車オンラインオークション
Copart
Copart3月を底にして、緩やかに増加。
IAAI
IAAI 4月を底にして、緩やかに増加。
中古車のオンラインオークションの業界は、トランザクションだけを見ると、実は、ほぼ無風だったように見える。(売上とトランザクションは別の可能性もあるので注意。)
Carvana
3月を底に、右肩上がりで増加している。
オンライン中古車販売。
オンラインビジネス支援
Zoom
4月をピークとして減少中。3月の水準よりは高い位置で推移。
3月4月のトラフィックの増加は凄まじく月間で2倍以上になっている。教育機関でオンライン学習のツールや在宅ワークでも使われていたが、経済の再開とともにトランザクションの一時的なピークは過ぎ去ったように見える。ただし、3月よりは高い水準を維持しているし、減少は少し鈍化しているように見えるので、どこかで、落ち着くと思われる。
教育機関には無償でサービスを提供したりもしていたし、トランザクションの増加はコスト増であったが、課金ユーザが定着すれば、中長期では利益にはプラスだろう。更に自前のデータセンターを増強する話もあったので、長期では、コストを減少させ利益率を改善してくるものと思われる。
Slack
Slack 3、4月をピークとして、減少後、緩やかに増加して推移。
Microsoft
Microsoft 4月をピークとして緩やかに減少して推移。
Microsoft teams
Microsoftのチームのドメインに限ると、変動が大きい推移になっている。
Slack(チームコラボ)とZoom(テレビ会議)を足した感じという認識。
SalesForce
Salesforce 4月をピークとして減少後、緩やかに増加中。ピーク時に接近。
動画サービス、エンターテインメント
Youtube
Youtube 4、5月をピークとして緩やかに減少し、その後増加。
Netflix
Netflix 4月をピークとして緩やかに減少し、7月から増加。
Hulu
Hulu 5月をピークとして減少し、7月から増加。
トラフィック数がNetflixの10分の1ぐらい。
Disney +
Disney Plus 5月をピークとして激しく減少し、7月から増加。
Roku
Roku 5月をピークとして緩やかに減少、5月の水準を超えてきている。
Spotify
Spotify 4月をピークとして緩やかに減少、4月の水準に近付いてきている。
ピーク時期が早く、Netflixに似た推移。
Nintendo
Nintendo 4月をピークとして緩やかに減少して推移。
みんな在宅ワークの期間に「あつまれどうぶつの森」やり過ぎ…
SNS
Facebook 3月に増加した後、ほとんど横ばいで推移。無風にちかい。
Twitter 3月に増加した後、ほとんど横ばいで推移。無風にちかい。
Instagram 3、4、5月と増加。6月に減少するもピークの水準と同等。
LinkedIn 無風に近く、緩やかに推移。7月に増加。
Pinterest 5月にピークを迎え、減少するもピークの水準と同等。
注:ピンタレストは国ごとにドメインを分けているので、正確には、その国のドメイン毎に調べる必要がある。
Tinder
Tinder 増加基調。6月にすこし減少するもピークを超えてきている。
Match
Match 無風に近く、緩やかに推移。7月から急増。
Snapchat
snapchat5月をピークとして減少し、7月から増加。
オンライントレード
Robinhood
失業給付金等の影響で投資が活況とも言われる状況下、Robinhoodは好調である。
Schwab
Robinhoodまでとは言わないが、チャールズシュワブも、6、7月と増加。まずまず好調そうである。
Etrade
Etradeも6、7月と増加。好調そうである。
その他
Zillow
不動産販売のサイト。低金利、在宅ワークの流れを受けて、不動産業界は好調なようである。
Rocket Mortgage
不動産販売、不動産ローン、ローン借り換え等のサービスを提供しているロケットカンパニーのサイト。低金利、在宅ワークの流れを受けて、不動産業界は好調なようである。
Expedia
旅行業界のトラフィックは、流石に悲惨な状況。
Chewy
ペット関連のEコマース。オンライン主体の生活必需品と変わらないなだらかな推移。
学術的資料1
学術的な興味として調査。
Amazonを超えるトラフィックを維持しながら、ほぼ一定で推移。
世の中に浸透した生活必需品の様な強さが伺える。
学術的資料2
学術的な知見を得るために調査。
ほぼ一定で推移。
コロナの影響を全く感じさせない底堅い需要の強さを感じる。
まとめ
全体的な傾向として、4月か5月をピークを迎え6月に下落、7月に増加しているものが多い。
4月にピークを迎えているZoom、Netflix、Disney Plus、Walmart、Costcoなどがあるが、一時的な変動が大きかったものは経済の再開とともに減少が大きかったように見える。代替手段、暇つぶしとして、使われていたものは、経済の再開とともに、少なからず揺り戻しを受けているようだ。(小売りは経済の再開で店舗に戻っただけなので、悲観する必要はないと思われる。)
一方で、5月にピークを迎えているものの多くは、7月に更に上の水準に達しているものが多い。つまり、5月6月は全体的に減少傾向だが、5月の減少よりも成長幅が大きかったことにより、ピークが後ろにずれているように見える。
もう一つの傾向として、もともと、オンラインがメインだったところは、コロナの影響を受けず、比較的、緩やかに推移しているものが多いように思われる。
個別の話としては、コロナ以前からオンラインショップと店舗を融合するオムニチャネル化を推進していたWalmartのオンライン移行は、他と比較すると一歩先を進んでいそうである。いままで、オンラインを使用していなかった層を取り込んで利用者を増やせているように見える。
コロナによって人が移動しなくなった分、E-bayやPaypalやEtsyのような越境EC関連には追い風になっているようである。
また、低金利、在宅ワークの後押しで、不動産関連のZillowやRocket CompaniesやホームセンターのHomedepotは好調である。
給付金の影響か、株取引が活況になっている。コロナの失業給付金、補助金が支給された期間にRobinhoodで株取引をする人たちが増加し、その人たちを表すロビンフッダーという用語が生まれた。そしてロビンフッダーの取引状況は投資家が注目する一つの情報になっていた。(取引の標的にされるのを嫌って取引データは非公開になるらしい。)Robinhoodのトランザクションは右肩上がりで増えているが、今後の動向は給付金・補助金しだいと言ったところだろうか。
失業の影響、店舗販売の行き詰まりによるインターネットでの販路確保、SNSの普及による個人の影響力の高まりからか、InstagramやPinterestのようなSNSのトランザクションも増加しており、個人・中小規模の事業の人達がオンラインショップを開くShopifyやWixのようなサービスも好調である。オンラインショップを開く人たちはInstagramやPinterestで拡販していたりするのかもしれない。また、失業の職探しでLinkedInを使う人が増えているようにも見える。
動画配信サービスやエンターテインメント系の一時的な需要増は、経済の再開とともに揺り戻しを受けているが、そのような状況下でもRokuのトランザクションの推移には強さが見られる。CATVからインターネットTVへの移行は不可逆的な流れであり、揺り戻しが発生していないようにも見える。
そして、コロナで逆風になるかに思われた出会いの場だが、シェルターインプレイス、ステイホーム、在宅ワークによる孤立の影響か、多くの人々はTinderやMatchを使い新しい出会いを求めているようである。ちなみに、TinderやMatchはオンラインでのテレビデートの機能を搭載し、COVID-19に適応している。(女性からすれば、直接会うのはハードルが高いけど、テレビ電話なら気軽にできるし、男性からすれば、食事を御馳走する必要がないので、Win-Winに思われる。テレビ電話なら、1日に複数の人と出会う事ができて便利だというユーザの意見もどこかで聞いた覚えがある。)
オンラインのトランザクションの推移を見てみると、人々の生活の一部が垣間見えて面白い。
おまけ
マッチングアプリのTinder。友人が使っていたので、使い方を聞いてみたら、
「シャッ、シャッ、シャッ!」と猛スピードで手裏剣を繰り出すような動作をして見せた。
よくよく聞いてみると、Tinderは画面に異性が表示され、好みのタイプだったら右、そうでなければ左にスワイプする。そして相手も、自分の事を好みとしてスワイプしていたら、マッチングが成立し、チャットができる仕組み。しかし、友人に言わせると、そもそも、マッチングされなければ、意味がないのだから、悩んで右左にスワイプする時間がもったいない。とりあえず、全部を好みに振り分けた後で、反応があったものの中から、返事をしていくのだ。と言う話からの、「シャッ、シャッ、シャッ!」という手裏剣を繰り出す動作である。(今は仕様変わっているかもしれない。)
コミュ障の私からすれば、驚愕の話だった記憶がある。
「ストライクのボールを選球するのではなく、来た球がストライクなのだ。」という発想の転換がチャンスを生み出すのだ。
なんか格言っぽくすると締まりがでましたが、実際は最低な話です。
なんの話か分からなくなりましたが、何かの参考になれば幸いです。
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