金と木の価格を比較してみると、コロナショックで大きく落ち込みはしたものの圧倒的に木のパフォーマンスが上回っている。
どういう事かというと、コロナショックで供給ラインが整っていない中で、木材の需要だけが高まっているため、木の価格が高騰しているのだと考えられる。
なぜこのような木材の需要が高まっているかというと、リーモートオフィスの流れで都心のオフィスに通勤する必要がなくなり、郊外に移住する人が増えた事と、急激な金利の低下が住宅市場をにぎわせているからだと考えられる。
8月18日に発表された住宅着工件数は予想を上回る力強い回復を見せている。
更にコロナの影響で、オンライン化が加速しており、住宅購入検討者と不動産エージェントをマッチングする不動産周りのオンラインのサービスを提供するZillowは、右肩上がりでアクセス数を伸ばしている。
同様の理由で、住宅ローンの申請・借り換えの需要が高まっており、オンラインの住宅ローンサービスを提供するRocket Mortgageというサイトのアクセスも右肩上がりになっている。
出典:Similarweb(Rocket Mortgageトラフィック)
下記のように「Rocketmortgage」でトレンドを見ても好調に見える。
出典:Google Trends
Rocket Companyは最近IPOした会社だが、順調に会社自体の知名度が広まりつつあるように見える。
もう少し大きな視点でGoogleTrendsで「住宅ローン関連のキーワード」の傾向を見ると下記の様になっている。
最近、「住宅ローン関連のキーワード」の検索数が増加しているが、2009年の初頭も大きく増加している。これを金利と照らし合わせて見てみよう。
「FF rate」が下がり、それにつられて、「米国債30年」が下がり、「30年の住宅ローン固定金利」が大きく下落したタイミングで、「住宅ローン、住宅ローン借り換え」の検索数が大幅に増加していることがわかる。
当然とも言えるけど、金利が大きく下がった時に住宅ローン申請、住宅ローンの借り換えの需要が生まれているのだ。少し大げさな言い方だが、今、住宅ローンの金利は歴史的な低金利になっているため、今より前に住宅ローンを固定金利で借りた人は、全員が借り換え対象の見込み顧客になっているともいえる。
コロナウィルスのワクチンが完成して、経済の復活が濃厚になれば、金利が上がりだす可能性があり、借り換えの需要は少しづつ減少することになるが、上記の過去の金利の値動きを見ると、住宅ローンの金利は、30年米国債の金利が上昇しても、スプレッドが広いうちは、高い金利を求めてモーゲージの債券が買われるため、上昇しにくくなっているように見える。最近のスプレッドの広さを考慮すると、住宅ローンの金利は、まだ下落の余地があるように見える。確実なことは言えないが、このトレンドは、もう暫く続く可能性もあるように思われる。
個人的な意見だが、オンライン系のサービスを主体とする好調な業種もあるが、旅行業界、石油関連を筆頭に赤字に苦しむ企業は多い。好調な業種の一部にバブルを認めつつも、(不調な業種にだけを優遇する様な離れ業でもない限り)FRBは不調な業界を支えるために金利を上げることができない状況にあるため、暫くは低金利が続くものと思われる。
更に大きな視点でFF rateと住宅金利を眺めてみよう。
もっと長いスパンで金利をみると1980年代から上下に変動はあるものの、(全体的な成長の鈍化を反映してなのか?リスク算定精緻化の成果なのか?)金利は下がり続けており、長期的に米国の不動産の需要、借り換えの需要は発生し易い状態が持続するのかもしれない。
更にオンライン化の流れもあるので、住宅関連のオンラインサービスには追い風が来ているようにも見える。
(おまけ)
あなたが落としたのは金でできたバットですか?
それともこの銀でできたバットですか?
木です。
正直者のあなたには、この金のバットを差し上げましょう。
いいえ、木のバットを返してください。
というような状況。
まさか、金より木の方が値上がりすることになろうとは・・・
【ご参考】住宅市場以外についても、こちらに記事を書いています。
コメント