【さらっと 銘柄紹介 】Adobe:ADBE アドビ
気になる株をピックアップ、さらっと銘柄を紹介します。
◆Adobe:ADBE アドビ
PDF編集ソフトや画像・映像等の
デジタルコンテンツを編集・作成するソフトを提供する会社。
◆10年分の財務諸表
- PL
- 売上:2015年から順調に伸びている。
- 利益率:2015年から販管費が減り利益率が伸びている。
- ROIC:21.72%
- BS
- 負債の割合は微増。(余力は十分。)
- 効率性
- 順調な業績を反映して固定資産回転率が上がっている。
- 配当、配当性向
- 無配当。
- 自社株買い
- 微減しているが、ほぼ無し。
◆ポイント
2015年あたりから売上が伸びているだけでなく、
利益率も向上しており、急激に業績がよくなっている。
何があったのか?
AdobeのSaaSサブスクリプション快進撃は、ここから始まった。
(SaaS(ソフトウェア アズ ア サービス):ソフトウェアをサービスとして提供すること)
2011年4月10日(リンク)
ソフトウェアをサブスクリプションでも提供する事を発表。
2013年5月6日(リンク)
今後は全てをサブスクリプションで提供する事を発表。
Adobeは、それまで、ソフトを売り切り(一度買えばずっと使える)方式で販売していたが、サブスクリプション(定期購読、月額払い)のサービス提供方式へ切り替えた瞬間であった。
これにより、一時的に売上は横ばい傾向であったものの、ユーザは拡大し、収益は安定し、ユーザの声を反映した的確な投資・製品開発ができ、さらに成長したのである。この成功事例が、近年のSaaSのIPOバブルを助長したと言えるだろう。
ユーザの拡大
高価だったソフトウェア(約25万円)を月額払い(約5千円)にして、一度に支払う料金を下げ、敷居を下げてユーザの拡大を計った。
収益の安定
定期的な収益が見込めるため、収益の予測が経てやすく、投資の計画が経てやすくなった。
ユーザとの接点の強化
サブスクリプションにする事で、ユーザの利用状況・嗜好がリアルタイムに把握でき、次の製品開発にいかせる様になった。
2011年4月に始めたビジネスモデルの変革が
2011,2012,2013,2014と4年間の長く低調する苦難の時期を乗り越えて、
実を結んだ瞬間である。
今でこそ、所有から利用への流れで、Netflix(動画)やSpotify(音楽)やAmazon Prime(オンラインショップ)、DropBox(ファイル共有)、Slack(チームコミュニケーションツール)、Atlassian(ソフトウェア開発コラボレーションツール)、Zoom(ビデオ会議)といったサービス利用型のビジネスモデルが一般に受け入れられ、持て囃されているが、Adobeはビジネスモデルを変革するにあたって長い苦難の時期を経ているのである。
なお、サブスクリプション型のビジネスモデルは、売り切り型に比べて、一度に払う料金が少ないため、不況の影響を受けにくいと言われている。
(11/22時点でPERが53.26)
値上がりを保証するものではありません。投資は個人の責任で行ってください。
4半期決算、PER、市況、ニュース、チャートの確認をお勧めします。
(PERは15倍(~25)ぐらいに収めたいが、良い株はだいたい高い…)
(おまけ)
ビジネスモデルを変革した経営者の英断と、折れない意思はすごいと思うよ。
投資家としては、「Adobeの様に、劇的に業績が良くなる兆候がある企業を見つけたい!」と思い、「良いビジネスモデルは数字に表れる!」と仮説をたてて、スクリーニング等では設定できない条件で分析するため、コツコツと10年分の財務諸表を可視化して眺めているわけです。
(おまけ)
Adobeは京アニ放火事件の被害者を支援するクラウドファンディングに「微力ながらお役に立てることがあればと思い支援した。京都アニメーションは日本だけでなく、世界のクリエイティブコミュニティーの中心の一つだと思う」として、約540万円を募金してくれている。リンク
アメリカ人は、自国内の出来事には興味を持つが、海外の出来事に無頓着な人が多い。そんな中、なかなかできることでは無い。非常に好感が持てる魅力的な企業である。
誰かに公開するわけでもなく、ひっそりと募金をしてくれていたのを、たまたま見つけた人がいて、公になったと言うのエピソードが、また良い。
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