ささっと 決算

【2020年4月 ささっと決算】Copart

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【2020年4月 ささっと決算】Copart

対象企業:Copart

対象企業は中古車オークションのコパート。事故で全損等になった廃車を修理業者、解体業者、中古車業者へオークションを通じて販売する。

Earning Callを片っ端から力技で確認。

◆Copart コパート

まずは、決算の数字をグラフにして、いくつかのポイントを説明したい。

決算概略


出典:IRよりグラフ作成

決算のポイント

  • US国内の売上が約75%を占める。
  • 3か月の全体売上は0.50%(YoY)。(コスト2.79%増、利益23.48%
    (280万ドルの減収。米ドル高による為替影響-360万ドルを含む。)
  • 9か月の全体売上は12.04%増(YoY)。(コスト9.62%増、利益21.95%増)
  • サービス売上が89%を占める。
    • サービス売上は3.7%増
    • 車の売上は26%。(イギリスが委託契約に移行した影響を含む)
  • コストはヤードオペレーションが73%を占め、3か月の同コストは8.5%増(YoY)。

ポイントを整理すると、全体の売上(3か月)は、微減し、売上の増加に対して、コストの増加の方が大きくなっている状態。まぁ、COVID-19の状況を考えればやむ無しだろう。

ざっくりと理解したところでEarning Callを確認してみよう。

ビジネス概況

  • 台数は、全体で1%弱の減少
    米国1.4%増加、海外12.6%減少。
    米国は、既存顧客の有機的な成長市場シェア拡大が牽引。
  • 保険事業の販売台数は、5.6%増加。
  • 損害保険は、13.4%の減少。
  • 在庫は、全体で9.6%減少
    米国在庫11.3%減少、海外在庫1.2%増加。
  • 売上総利益は、2億5,160万ドルから2億4,260万ドルに減少(前年比3.6%減)。
  • 売上総利益率は、45.5%から44.1%へ低下。
  • 予想を上回る販売台数と量を確保できず、粗利益率は50.2%から46.3%へ低下
    海外の売上総利益率は25.4%から31.7%へ上昇
    (イギリスが委託契約に移行した影響)
  • 平均販売価格は4.8%の下落。現在は、危機前の水準を上回る水準まで上昇。(為替の影響や物流・需要の不確実性が原因の一部)
  • ユニーク入札者と海外入札者が約20%増加。
  • 海外会員の入札と落札単位当たりの入札額が増加。
  • 流動性が高まり1 台あたりの入札額が増加し、販売価格が向上。
  • 営業キャッシュ・フローは2億9,400万ドルで、19年第3四半期と比較して増加。第2四半期でも大幅に増加。事業から生み出されたキャッシュ・フローと、在庫の減少に伴う運転資金の削減によるもの。
  • 資本支出は9,060万ドル。設備投資の80%以上が能力拡大への投資。新しいヤードや拡張プロジェクトも多数控えている。現在の需要と将来の需要を満たすために、土地の購入と開発を継続。
  • 業界内では、保険会社への補助サービスの提供が増えていて、業務にもっと垂直統合したいと考えている顧客もいる。提供しているサービスの数は増えているし、今後も多くのサービスを提供していく予定。
  • 中古車価格が大幅に下落した場合、販売台数は増加する。しかし中古車価格は5年前に業界アナリストが予測していた価格と比較しても、堅調に推移。堅調な価格が需要を抑制する面もある。
  • ADAS(先進運転支援システム)により、一般的には事故の頻度は減少する。一方、総損失頻度を増加させ相殺し合うと考えている。(例えば、車を安全にするセンサー等は、簡単に損傷する傾向がある。)
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新型コロナウイルスの状況

  • 2008年の金融危機に似ていると感じ、銀行の流動性に不安を覚え、リボルビング・クレジット枠から8億2500万ドルの資金を引き出した。(3月の8-Kに記載)その後、借入残高はすべて返済。そして2020年4月30日現在、3億ドルの現金と未使用の融資枠を含め、約11億ドルの流動性を確保。
  • 政府が州・連邦・市レベルで、企業が運営してはいけないと言うのが理解できなかった。人口を分析し、仕事する人を4分の1、3分の1、半分にすれば、社会的な距離を保つことができる。
  • 何度も警察がコパートの店舗を閉鎖しようとしたが、複数の州で強く主張して覆した。1日や2日で停止する場合もあったが、警察署長や他の法執行機関の人達と協力し覆した。
    • レッカー会社から車を引き取らなければ、レッカー会社は満車になり、道路には車が放置されたままになる。
    • 車を販売しなければ、修理に使える部品を用意できなくなる。
    • ボディーショップから車を引き取らないと、車を修理できない。
    • 保険会社が保険金を支払うことができなくなるし、保険の手続きが止まる。
  • 長年にわたって土地を追加してきたので、大きなキャパシティを持ってる。陸運局が閉鎖されるのを見越して、別のヤードへ車両を移動させるなどの作業を実施した。
  • 運転の落ち込みにより、事故が減り、在庫が減少している様子。車の運転は、最低の期間では55%~65%低下していた(Apple Mobility, Google, the University of Washington’s metrics等のデータより)が、現在は大幅に回復。運転の落ち込みほど、保険は減少していない。
  • 販売価格に若干の変動が見られたが、流動性とオークションへの参加率は危機の間も高水準を維持していた。最近の販売価格は、危機以前の水準を上回る水準。(第4四半期の価格変動は、米ドルが大幅に上昇したことに起因する部分がある。)
  • 世界的な経済の不確実性もあり、それが自動車の需要にも影響を与えている。しかし、オークションの流動性は高い状態で推移。
  • パンデミックが今後の四半期収益に悪影響を及ぼすと予想しているが、影響の大きさや時期は、経済活動の停止の程度や期間、シェルターインプレースの解除に左右される。
  • これらの大きな社会的な問題は、数ヶ月、数四半期、数年先まで解決されないままになると思われるが、土地投資については、土地の取得と開発のリードタイムが非常に長い。5年から20年のスパンで理にかなっているため、土地の購入と開発を続ける。
    (米国、カナダ、英国に加えて、ブラジル、ドイツ、その他の地域にも投資。)

まとめ

オークションビジネスは参加者が増えるほど、落札価格が上がる。従って、参加者が多いことが重要である。参加者が増えるには品揃えを増やす必要がある。品揃えを増やすには、土地が必要になる。そのため、長期のスパンで土地に投資しているという事だろう。

また、全損した車を引き取ってもらう保険業者としても、落札価格が高いところに卸したいというインセンティブが働くため、参加者が多く、落札価格が高い事が重要になる。しかし、仮に値段が安くなったとしても、コパートとしては、手数料(89%を占める委託販売)で稼いでいるので、安くなった分、多く売れれば、収益は落ちない

新車を販売する自動車メーカーの場合、製造原価があるので、値段が安くなれば、ダイレクトに収益悪化に繋がるが、コパートのような中古車オークションの手数料ビジネスの場合、単価の下落すれば、価格競争力が上がるので、販売台数の増加が、それをカバーする構造にある。

オークションビジネスは集客する事ができていれば、強いビジネスの様に思われる。

COVID-19の影響で、警察がコパートの店舗を閉鎖しようとしたが、複数の州で強く主張して覆したらしい。また、2008年の金融危機に似ていると感じ、銀行の流動性に不安を覚え、リボルビング・クレジット枠から8億2500万ドルの資金を引き出している。これらの行動から見えてくるのは、言われるがままに従うのではなく、自分の身は自分で守ろうとする経営力・リーダシップの強さである。

おまけ(個人的感想)

オークションは、VISAやMasterCardのように、ネットワーク効果を持つ手数料ビジネスであり、ビジネスに強さが見える。まだ、短期では不確定だが、長期的には強いビジネスであるように思われる。

少し長いスパンの懸念点としては、自動運転が実用化され、事故が減った場合の影響である。自動車が高度化して精密化すると壊れやすくなるので、仕入れは減らないというようなロジックみたいなのだが個人的にはあまり腹落ちしていない。まぁ、中古車市場がなくなる事は無いと思うので、あまり心配することでもないかもしれない。

おまけ(競合について)

中古車オークションは、コパートとIAAが米国の市場を2分している。ここで、コパートとIAAの決算を比較してみよう。

コパートの決算

  • 3か月の全体売上は0.50%(YoY)。(コスト2.79%増、利益23.48%
    (280万ドルの減収。米ドル高による為替影響-360万ドルを含む。)

競合IAAの決算

  • 3か月の全体売上は2.63%増(YoY)。(コスト6.46%増、利益17.98%

長期スパンで見ると、コパートの方が、良い決算をだしているが、直近3か月はIAAの方が順調に見える。

IAAのEarning Callを確認すると、360度ビューをアピールしていた。最近リリースした機能らしい。オークション画面では、一般的に車の状態を示す写真が並べるが、その一角に、360度ビューというのがあり、車の外観と内装を、それぞれ360度見渡せるようになっている。実際に使ってみると、内装が自分の視点で確認でき、使いやすい。実際に車に乗って確認しているような感覚になるし、くるまの天井等、普段撮影しないポイントまで確認でき、購入前の状態確認としては一定の優位性があるように感じた。

おまけ(自粛について)

COVID-19のロックダウン中、「テスラモーターズのイーロンマスクが工場を稼働させると言って、許可を出さないカリフォルニア州の郡を訴える」みたいなニュースが流れていたが、その裏で、コパートも獅子奮迅していたようである。

一方、東京では外出自粛の緊急事態宣言が解除されたが、外出自粛期間中に飲み歩いていたアイドルが、外出の自粛が解除されたと同時に、芸能人活動を自粛する事になったようである。

温度差がすごい。

 

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